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文法の指導 「合いの手メソッド」

「文法の指導」という言葉を聞いたとき、どういった状況を想像するだろうか? 一般的に行われていることはおそらく、演繹的にルールを解説して生徒に応用させるか、帰納的に例文の中からルールを生徒に発見させ、その後にまとめの解説をするかだろう。 後者の帰納的アプローチは、かつてブームとなった「オーラルアプローチ」を思い出させる。 いずれにせよ、この文法の「理解」が終わったあとに「言語活動」と呼ばれるような、当該の文法事項を活用してのコミュニカティブタスクが行われる、というのが私の印象である。 私も実を言うと最近まで、この手順に何の疑念も差し挟まなかった。まずは文法を理解し、次に繰り返し使用をして定着を図る。至極当然のように思われた。 しかし、自分自身が英語を話す機会を持つたびに、事実はどうもこうではないような気がしてきた。 「定着」はそれほど簡単に達成されないということだ。 第2言語習得研究の世界で使われる言葉は「暗示的知識 "implicit knowledge"」である。「明示的知識 "explicit knowledge"」、つまり明文化できる知識が暗示的知識に変わるのにはかなりの量の使用が必要であるという研究もあれば、あるいは明示的知識は暗示的知識には決して変化しないと言っている学者もいる。 われわれ英語を外国語として学んでいる者には期待できることではない。発話する以上は、常に文法フィルターを最大限意識的に使用しなければいけない。 そこで、生徒の発話に「補助輪」を付けようというのが、この合いの手メソッドである。 <手順> 1.英文を解説する。 2.文法、日本語訳の確認をする。 3.発音の確認をする。 4.暗誦をする。同時に、教員が「合いの手」を入れる。 <例> 1."I should tell you that she's waiting for you in that big restaurant across the street." という英文を暗誦させることを目標とする。 2.文法と日本語訳を大まかに解説する。板書してもよい。 3.個々の発音の確認、練習をする。 4.(1)コーラス練習に入る前に、もう一度文法解説をする。 (...