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定期テスト作成の難しさ

定期テストの時期になるといつも感じるのは、テスト作りを苦手としている教員は一定数いるということだ。 考えてみれば、そう感じるのも無理はない。教員養成、教育実習そして採用にいたるまでテスト作りの体系的な研修があまりにもないがしろにされているためだ。 そしてテスト作りの技術は経験を積めば向上するという保証もない。各学校でテスト作成の研修会を実施すればいいのだが、おそらく授業実施法についての議論以上に教員間でのコンセンサスに至るのは難しいのではないかという印象がある。 誰もが自分が苦労して作成したテスト問題に愛着がわくのだ。それを他人からとやかく言われたくない。 しかしそれではいけない。筆者の経験では、英語科は授業手法は担当教員の裁量に任されているが、定期テストは共通したものを使っている場合が多い。大学入試を目標とすると、統一した目標設定をしなければいけないのは道理にかなっている。 すると、定期テスト前に担当者が作ったテストを見てその他の教員は考える。自分が授業で実施した内容はこのテストで有効に反映されうるだろうかと。 あるいは、そのような問題が出題されるなら違う授業のやり方があっただろうと後悔するかもしれない。そうならないためにテストは前もって作っておくのが良いのだが、時間的制約からそうもいかない。 ならば、テストに出題される問題の傾向や質を事前に共有しておくのが良い。この共有は教員間だけでなく生徒も含まれる。 さて、実際のテスト問題の作成技術に関する考察は別の機会に譲るが、作成の際に考慮すべき一つの重要な点を挙げておきたい。それは、   生徒にどのようなことが出来てほしいか(具体的な語彙、語形変化など)   である。当然のことのように思えるかもしれないが、実際のテストを見てみるとそうではなく、テスト作成者の都合、癖によって問題が作られていることが少なくない。 これはテスト問題評価の試金石である。自分が作った問題を見返して、一項目ずつ、その問題を正解するためには生徒はどのようなことが出来ればいいのかを考えるようにすると良い。

文法系授業 コミュニケーションタスクアイデア 「対話化」

文法系の授業は難しい。 研究授業でもあまり取り上げられていないのではないか?という印象がある。 出てくる英文の一貫性が無いことが多いということは以前の投稿で述べたが、コミュニケーションとは、本質的にそれまでに述べられた(書かれた)言葉に一貫性を持った応答を与えることだろう。 コミュニケーションの意図がある以上そこには一貫性がある。Austinのspeech actsしかりである。 さて、文法系授業(現高等学校指導要領では「英語表現」)で取り上げられる英文は多くがgrammarあるいはfunction-basedであるため、それぞれの文の間のつながりは希薄である。 自然、音声活動を取り入れようとする教員は、一文単位の復唱、暗誦、あるいは日本語からの英語への翻訳という活動に制限されてしまうことが多い。 結果、活動の目的が英文を覚えることのみになってしまい、だったら生徒の自主学習の時間に複数回書かせ読ませた方が効率が良いということになってしまう。 せっかく教室で英語を扱うなら、少しでも他者との対話の中に意義を見出したいところである。 前置きが長くなったが、英語表現の授業の担当者は一つ一つはバラバラな文をコミュニケーション活動化する手法をいくつか持っておいた方がよい。 その一つが「対話化」である。以下はVision Quest(啓林館)より抜粋である。 1   日本語に合うように, (   ) に適切な語を入れなさい。 1.   このスカートはきつすぎます。別のものを見せてください。 This skirt is too tight. Please (         ) (         ) (         ) one. 2.   この冬は多くの人がインフルエンザにかかった。 A (         ) (       ...

どうやってインプットを増やすかについての問題

インプットを増やすだけなら、教科書以外の教材を導入すればいい。 ただし、平均的な公立高校の環境を前提にすると、テストに出題されることを主に扱う必要があるように思う。 教科書から逸脱することなくインプットを増やすことはできないだろうか? 1つのアイデアは、オーラルイントロダクションだ。 英文の内容をパラフレーズすることで、生徒の理解を助けつつ様々な表現を体験させることができる。 ただし、オーラルイントロダクションも、テストに関わりがないと見限られると、生徒の取り組み、興味は落ちる。 対策は、オーラルイントロダクションの最中にインタラクションを増やし生徒に緊張感を持たせる、オーラルインタラクションにするか、あるいはイントロダクション後に教師が発言した内容についての小テストを行うことだ。 もちろんこれら2つの対策は必ずしも効果的ではない。前者を毎回やるだけの体力・気力を備えるのは容易ではなく、後者は「1パート1ワークシート」の原則を破ることに多くの場合つながる。 筆者は両方やった。1度やって上記の理由で止めて、またさまざま実践記録等を読んで興味を再燃させられ、もう1度取り入れて、結局続かなかった。 授業者としての直感で、費用対効果が低いことがわかるのだ。 オーラルイントロダクション/インタラクションの長所について強いて言えば、授業者の英語力の増強につながることがある。直接的ではないにしろ、授業者の英語力は長期的に見て大きなメリットがあるので、この視点から実践を続けることは有意義なのかもしれない。 さて、前述の方法以外で、教科書から逸脱することがなく、かつテストに反映されるインプットの増やし方はあるだろうか?その提案を次回にしたい。